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団ニュース

9月議会 日本共産党の各議案に対する意見

市税条例の一部改正についての反対意見

 同条例の一部改正は、地方税法等の一部改正に伴う、市民税、固定資産税、軽自動車税の見直し及び規定整備を行うものです。

■森林環境税の押付けは認められない

 森林環境税は、個人住民税均等割に1000円上乗せし徴収するものです。2023年度末で期限切れとなる復興特別住民税の看板を掛け替えて、引き続き国税として取り続けるものです。その背景には、世界的な地球温暖化対策があります。
 財政総務常任委員会の質疑では、森林環境税は、国民が収め、CΟ2排出企業等の負担はないということがわかりました。本来、CO2排出企業が引き受けるべき負担であり国として求めるべきもので、国民個人に押し付けるものではないことから、本議案を認めることはできません。
 さらに、市民が森林環境税として納めた税が、森林環境譲与税として交付されたものの使い道のない税として、今後基金に積み立てられる可能性があることがわかりました。
 市として、森林環境税・森林環境譲与税は、安定的な財源である国の一般会計における林業予算の拡充と、本来需要のある自治体への地方交付税の拡充となるよう国に要望することを求めます。

■大規模修繕工事実施マンションに係る固定資産税の減額措置について

 大規模な修繕等が行われたマンションに係る固定資産税額の減額措置については、減額割合を最大の1/2としたことは評価いたします。しかし、対象となるマンションの要件が、大規模修繕工事を過去に適切に行い、かつ管理計画認定マンションの認定を受ける際に修繕積立金の額の引き上げを行った場合であること等とし、一定の大規模修繕工事を2025年3月31日までに完了しなければならず大変厳しいものとなっています。
 また、これまで、適正に管理を行ってきたマンションは、固定資産税軽減の対象にならないとのことです。これでは、必要な修繕積立金の確保や長寿命化工事の実施に向けた管理組合の合意形成を後押しすることは困難です。
 一方で、財政総務常任委員会の質疑では、マンション管理組合の合意形成を後押しするためのアドバイザー派遣によるアウトリーチ型支援や固定産税額の軽減措置の延長を国へ要望するための前向きな対応をされることが確認できました。
 マンションの居住割合が全国3位の本市として、適正なマンション管理を推進するうえで、これらの対応を実施していただくとともに、さらなる本市独自の施策を検討していただくことを強く要望いたします。

 

吹田市手話言語の普及および、障害者の意思疎通手段の利用を促進する条例の制定について

 言語は人々が互いに理解し合い、暮らしを営む上で欠かせないものです。情報の取得およびコミュニケーションの保障は地域、社会で過ごしていくうえで大切なものです。
 しかし、かつて手話はその言語性を否定され、「手真似」と蔑まれ、ろう者は差別や自身の尊厳を深く傷つけられてきた長い苦難の歴史があります。ろう教育においては、手話の使用を厳しく禁止し、口の動きで相手の話を理解する、また発声する口話法を押しつけられてきました。ろう学校を卒業してから初めて手話を知り、手話で気持ちを自由に伝え、心を通わせ会話ができるようになったという方も少なくありません。手話は、ろう者が互いにコミュニケーションを図り、知識を得、自ら生活を営むために育み、大切に受け継いできた文化財産あり、生きる力、いのちです。
 2006年、国連総会で「障害者の権利に関する条約」が採択され、2011年、「障害者基本法」に手話が言語であることが位置づけられました。
 吹田市では、2014年、市議会に対し、吹田市聴言障害者協会のみなさんが「手話言語法の早期制定を求める」意見書の採択を陳情され、全会一致で可決しました。
意見書可決をきっかけに、今日まで、聴言協会、関係当事者のみなさんは、吹田市と市議会に対し、「手話言語条例」の制定を繰り返し求めてこられました。
 当事者のみなさんの強い願いを受け止め、今年7月議会での手話言語条例の議論を踏まえ、長い間、待ち望まれていた条例を今議会に全会一致で提案することができ、皆さんの願いがようやく実現することは大きな喜びです。

 吹田市には、今後、条例を基に、手話を言語の一つとして尊重し、障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用しやすい環境の整備、施策を進めていただくために、2つ要望をいたします。

■ひとつは、ろう者、障害者のみなさんは施策推進にあたり、実質的な意見聴取、協議の場の設置を求めています。
 条例の第9条には、「市は推進方針を策定し、若しくは変更する場合、または第4条にある施策を総合的かつ計画的に推進するにあたり、実施状況を確認するために必要がある場合は、障害者、学識経験を有する者、その他関係者の意見を聴くものとする」とあります。
 他市の場合、大東市は施策推進会議、四条畷市は意見聴取会、東大阪市は施策推進協議会など、具体的な会議体を設置しています。当事者の皆さんの要望をお聞きしながら、吹田市でも意見を聴き、協議のできる定期的な会議の設置を求めます。

■もうひとつは市長に要望です。
 吹田市独自で実施する施策には限界もあります。例えば、ろう教育の現場で手話に熟達した教師の配置をおこなうこと。聞こえない乳幼児、聞こえにくい乳幼児が手話を言語として獲得し、習得できる環境の整備。また役所や病院以外にも様々な生活の場面や時間など、ろう者の必要に応じた手話通訳者の派遣、手話通訳者の身分保障など、法整備が必要です。国に対し、手話言語法制定をぜひ、要望していただきたいと思います。
 全ての市民が意思疎通を図り、等しく安心して暮らせる権利が保障される吹田市を目指し、議会も共に力を合わせる決意を込め、賛成意見といたします。
(全会一致で可決)

 

市立千里山西老人デイサービスセンター廃止についての反対意見

 本案は市立千里山西デイサービスセンターを2023年度末をもって廃止しようとするものです。
 当センターを廃止しようとする理由は①本年度が指定管理期間の最終年度であり、施設が築50年以上となることから、今後必要な大規模修繕等を行う必要があること②民間のデイサービスが充足している状況から、当センターが一定の役割を終えたこと、とされました。
 7月から8月にかけて行われたパブリックコメントでは、他の事業所では受け入れ困難な方を断らずに受け入れてきたことや、送迎時間や日曜日、年末年始の開所など、採算性より利用者優先の柔軟なサービスの提供、職員の対応への高い評価が多く寄せられ、存続を望む声が多数でした。
 審議のなかで、担当部は当センターがこれまで果たしてきた役割について、「本市では市内において介護サービスが安定的に提供されるよう、介護保険制度創設前から当センターを先駆的に運営し、重度者の受け入れも積極的に行ってきた。20年以上が経過した現在、市内においてデイサービスの質と量の確保が図られている」といわれ、また廃止した場合、利用者のスムーズな施設移行やサービスの低下が起こらないよう、ケアマネージャーが対応し、市が支援していくとのことでした。しかしデイサービスは人と人とのコミュニケーションを大切にする福祉施設であり、場所や職員が変わることによる利用者や家族への影響などの懸念について払拭することはできませんでした。
 よって現時点で、多くの利用者や地域から存続を求められ、同時に福祉避難所として指定されている施設である千里山西デイサービスセンターを廃止する本議案については認められません。
(賛成多数で可決)

 

※一般会計補正予算に対する反対意見

市民サービスコーナー廃止と市民課窓口民間委託推進予算は、市民サービスの後退・個人情報保護の観点から認められない

■問題点(主な反対理由)

①戸籍住民登録事業における窓口業務の最適化に係るコンサルタント委託について

 窓口を委託する目的の1つとして、DV対策を充実させたいとの事でしたが、委託をしていなくても、現在職員間で相談しDV対策の強化が行われてきていますし、そもそも、市民個人情報を扱う市民課の窓口の委託を認めることはできません。
 今回、コンサルタントに委託をする、目的、内容は、以前職員自身が窓口の一部委託を進めるために検討し、その後取り下げた予算とほぼ同じであり、前回の提案時には、委託の仕様書もほとんどできていました。多額の費用を使い、議会を説得するためとしかおもえないコンサルタント委託は認められません。

②市民サービスコーナーの廃止について

 市民サービスコーナーは、サンクス・江坂・原町は1989年12月、岸部・北千里は1990年6月に開所しました。30年を超えて、その地域に存在し、市民サービスの向上のため役割を果たしてきています。
 マイナンバーカードの普及や、時代の変化があり、開設する日数は減りましたが、3日間開所の江坂8366件、2日間開所の北千里3953件、さんくす3371件で、一定の利用があり市民的に求められています。
 マイナンバーカードを持っていない人や、端末の取り扱いが不慣れな方々のことは切り捨てる冷たい姿勢は問題です。周知の期間を設けるため、年末での廃止としていたのを来年2月末に修正されましたが、廃止をすることには変わりないものです。市民の声を聞くこともせず、少しの期間延長するだけで、やり過ごすのはいかがなものかと思います。
 そもそも、市民サービスコーナーの予算は当初予算で1年分として計上され、執行されています。1年分で予算を提案しているにも関わらず、突然、廃止の提案がされました。6年前にサービスコーナーの見直し計画についてのパブリックコメントは行われたが、今回「廃止する」ということについて、パブリックコメントを実施していません。やり方がそもそも市民の声を聞かないあらわれです。
 マイナンバーカードの普及を理由にしていますが、ポイント付与の期間が終了と同時に手続きは目に見えて減っています。また、マイナンバーカードのトラブルもあとをたたず、まちがった診療情報で薬が処方され、命にかかわるようなこともおこっています。マイナンバーカードの取得は任意であり、今も持たない人は約3割おられます。廃止の理由にあるように、マイナンバーカードが普及しているとはいいがたいものです。せめて、一定の利用があるサービスコーナーについて残すことも含め、市民の意見を聞き、再検討することを強く求めます。
 市民課の窓口も、市民サービスコーナーも、市民のみなさんと直接、対面をします。2018年5月定例会で当時、総務省が地方自治体の行政改革の支援として、窓口業務に取り組む市町村向けにマニュアル作成に着手していることを示した質問に対し、後藤市長は「市役所の対面職場での業務は直接市民のみなさまに接し、寄り添いつつ、分野横断的な問題についても丁寧に御対応するという、基礎自治体において、とても大切な業務です」と答えておられました。その姿勢を翻すものと言わざるを得ません。後藤市長、ご自身が発言されたことですから、重みを考えて、再考し、市長自身が政治判断で、方針を見直すことを求めます。

■改善・要望点

③中学校の部活動指導員の外部委託について

 全国的な課題として、教員の負担軽減と、部活動の指導者・顧問の不足による廃部問題を解決するため、「部活動の地域移行」が進められます。今回、5つの学校の5つの部活動を試行的に外部委託するとし、予算が提案されました。
 教育委員会は、審議の中で生徒や保護者から指導に関する相談があった場合には、学校や教育委員会が適切に関与し、事業者に迅速な指示を出せる体制の構築を行うと、答弁されていましたが、本来、こどもたちのことを考えれば答弁されていたことをまず先に整えるべきです。また部活動指導者に対する研修の体制もあいまいにせず、教育委員会が責任をもって行うよう求めます。全校のこどもたちや保護者へ、アンケート等でクラブ活動についての意見を聞き、政策に生かすこと、また、顧問がいないことで廃部状態になっているという状況も改善し、やりたい部活動が続けられることなど、こどもの意見表明権を大切にしていただくよう求めます。
(賛成多数で可決)