本予算は、2024年4月から3か年計画として高齢者保健福祉計画と介護保険事業計画と一体のものとして策定される第9期吹田健やか年輪プランの介護保険事業について対応するものです。
歳入歳出とも334億7470万7千円が計上されています。
歳入の50%は、第1号及び第2号被保険者による介護保険料となります。残りの50%のうち国が25%を支出し、都道府県、市町村が12・5%ずつ支出します。吹田市の65歳以上の介護保険料基準額が、2000年4月当初の月額3,006円から、2024年4月からは6,280円と、ついに2倍超となります。保険制度であるため介護保険給付費が増えれば、保険料額が引きあがることになります。しかし、介護保険料の引き上げは高齢者の暮らしを圧迫するものです。『議案第7号吹田市介護保険法施行条例の一部を改正する条例の制定について』で意見しましたが、改めて、国は歳入の50%を保険料で賄う現行割合を見直し、国庫支出割合を増やすべきであることを改めて申し述べます。
歳出では、介護保険給付費が306億7544万7千円となっています。第9期健やか年輪プランにおける推計では今後、要支援・要介護認定者が増加し、介護サービスの利用見込みが増加しています。とりわけ、訪問介護や訪問看護等訪問系のサービスは、ますます需要が増えると見込まれています。つまり、居宅サービス事業者による安定的なサービス提供が不可欠だということになります。
一方で、先般示された2024年度からの介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられました。コロナ禍のもと、要支援・要介護高齢者の暮らし、命を守るために、自らも命がけで必死の思いで奮闘してこられた訪問介護従事者、事業経営者に大きなショックを与えおり、強い憤りを覚えます。全国の約4割の訪問介護事業者が赤字経営であり、訪問介護員の深刻な人手不足や高齢化の問題は常態化しています。
東京商工リサーチの調査では、昨年の訪問介護事業者の倒産件数は67社、休廃業は360社、倒産・休廃業を合わせると過去最多の427社となっています。基本報酬の削減が実施されれば、必要なサービス提供が行われない状況がおこるどころか、さらに、休廃業に追い込まれる事業者がでる可能性があり、まさに在宅介護の崩壊が危惧されます。
基本報酬は介護事業所運営の基本財源であり、経営を安定させる担保につながるものです。訪問介護の基本報酬削減の撤回を強く求めます。
また、地域包括ケア推進の要としての役割を担う、市内15箇所の委託型地域包括支援センターの運営においても、この間、機能強化と併せて体制強化が図られ、2024年度より委託費が増額されるとは言え専門職の確保がままならない状況を打開できていません。これでは、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行うことができず、地方公共団体として責務を果たすことはできません。よって、本予算案を認めることはできません。
(賛成多数で可決。日本共産党は反対)