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山五小統廃合計画は認められない  子どもの意見表明権や住民合意を無視し強引に進める手法に問題あり

 吹田市立学校条例の一部改正は、山田第五小学校を廃止し2025年4月より山田第三小学校へ統合しようとするものです。教育委員会は、「2019年度よりPTAと対話をはじめ、2022年度に実施したアンケートにより、様々な立場や地域の方から声を聞き、保護者説明も複数回実施し、統合に向けたプロセスに問題はない」としています。
 しかし、多くの保護者から2025年4月の統合スケジュールについて「あまりにも性急すぎる」「意見を聞く場を設けてほしい」と見直しを求める声が上がっています。保護者説明会やパブリックコメントでも同様の意見が多数寄せられました。「プロセスに問題あり」と指摘されているにもかかわらず教育委員会は「賛成と反対の議論に子どもたちを巻きこみたくない」「地域に対立と分断を持ち込みたくない」と、ことの本質をすり替え、「未来のこどもたちのために責任をもって進める」と、保護者の声に誠実に向き合う態度ではありません。


子ども達の教育にとってどうなのか
 また、教育委員会は、過小規模校である山田第五小学校の廃止理由について、6学級以下の学校規模は、「男女比に極端な偏りがあること」「集団が小さすぎることによる人間関係の固定化」があるためとしています。文科省が定める手引き通りに、過小規模校は教育効果が低いという理由をことさら強調しています。しかし、多くの児童は、「クラス仲の良さ」「学年を超えた交流」「些細なもめごとが大きな問題に発展しない」と小さい集団であることのメリットを実感し、楽しい学校生活を送っています。
 小規模校のメリットを最大化した教育の充実が図られていることを多くの保護者が実感しているからこそ、統合によって我が子の教育環境がどうなるのかと、不安になるのは当然であり、「子どもにとって統合がプラスかマイナイスか」この議論を統合の方向性を決定する前に実施しなかった点においても、プロセスに大きな問題があります。


子どもの権利条約の意味を理解していない
 子どもたちが、自分たちの学校の統合に関して、意見表明の場がつくられなかったことも大きな問題です。子どもの権利条約第12条には、児童自ら影響を及ぼす全てのことについて自由に自己の意見を表明する権利が確保され、このため児童は行政上の手続きにおいて直接にまたは代理人もしくは適当な団体を通じて聴取される機会が与えられるとあります。こども基本法第3条基本理念においては、全ての子どもについて、自己に直接関係する全てのことに関して意見を表明する機会及び多様な社会的活動に参画する機会が確保され、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されることと明記されています。市長は、山田第五小学校の子どもたちに意見を聞く場を設けると約束したにもかかわらず反故にしたままです。教育委員会は、「賛否のわかれる議論に子どもたちを巻き込むべきではない」として、子どもたちの意見を未だ直接聞こうとしていません。そのもとで子どもたちからは、「大人が、かってにきめないでください。今の友だちと山五小を卒業したいです。山五小をぜったいになくさないでください」「もっとひとりひとりの意見を真摯に聞いてほしい」「山五小のことをダメだと言わないでほしい、デメリットばっかりじゃなく、メリットもちゃんとみてください」「どろんこの先生に、色々教えてもらった。卒室式ができないのは嫌だ」等、子どもたちから多くの手紙が寄せられました。文教市民常任委員会で、市長はこの手紙を読んでいなかったことが分かりました。ただただあきれるばかりです。なぜ子どもたちが意見表明できる場を設けようとしなかったのか。子どもの権利条約、こども基本法を全く理解せず、当事者であり、主権者である子どもたちを置き去りにする本市教育行政の姿勢は重大な問題があると指摘しなければなりません。


住民合意を無視する後藤市政
 地域に対する説明も不十分です。学校は単なる公共施設ではありません。地域のコミュニティの中核であり、地区公民館同様に文化センターとしての意味をもっています。山五地区山田第五小学校の運動会は「ふれあい運動会」と称して、同じ日に山五地区市民体育祭を開催し、学校、子どもたち、地域住民とのふれあいの場を築き、山五地区公民館では、夏季の公民館自習室開放おいては、市内地区公民館で、最も多くの子どもたちが来館し、子どもたちを地域で育む取組みを進めてこられました。山五地区では、山田第五小学校開校以来、子どもたちを中心に据えたコミュニティづくりの歴史を紡いでこられたと言っても過言ではありません。その地域の小学校がなくなるということは、小学校区単位で機能している住民自治の解体を意味します。その地域に対しての説明は1回しか行われていません。市長の言う誠実な対応とは程遠いものです。


地域の核としての学校
 地域から学校がなくなる、学校を核とした地域の営みがなくなるという大きな影響を与える山田第五小学校の廃止、統合について、教育委員会は形式的な手続きに終始し、統合を決定する前に、子ども、保護者、地域住民の意見を十分に聞かず議論する場がつくられなかったこと、政策決定過程のなかで当事者を含めた熟議がなされていないことが、本条例審議で明らかになりました。市長の政治信条である「真に民主的」な市政運営に「偽りあり」と言わなければなりません。統合スケジュールを見直してほしい、議論の場を設けてほしいという、保護者や地域諸団体の陳情書、子どもたちの手紙、3168筆の署名が出されたことは、その証左であります。


プロセスに問題あり
 山田第五小学校を廃止して、2025年4月に山田第三小学校に統合する本条例案は、その決定までのプロセスに大きな問題があること、決定的に重要な住民合意を抜きに推し進められたものであることから、強く反対いたします。
(維新・自民・公明・吹田党・立憲の賛成多数で可決)