大阪府が全国に先駆けて進める国民健康保険制度の府内統一化によって、今年4月から保険料が大きく引き上げられます。この間、府が求める保険料率に合わせてきたことにより、今年度実績で、保険料が高い市町村全国上位50の内、府内の市町村が30を占めており、全国的にみても負担の重さは最悪水準になります。
来年度の値上げ幅をみますと例えば年収300万円、夫婦と小学生以上の子ども2人の4人世帯の場合、今年度の保険料が年間40万8千120円であったものが来年度は45万9千170円になり、5万1千50円、12・51%の値上げになります。大阪府が示した標準保険料率(医療分)は、所得に応じて決まる所得割が9・18%から9・56%へ。子どもも含め人数に応じて上乗せし、「人頭税」とも指摘される均等割は3万3千730円から3万5千40円となり、多子世帯や子育て中のシングル家庭等に深刻な影響が及ぶ恐れがあります。
吹田市はこれまで、多子世帯や低所得者への負担軽減や住民の生活状況などを踏まえて独自の減免措置を実施してきました。また今年度は繰越金7億円を使って保険料の値上げを抑えたように必要に応じた財政補助を行なうなど努力をしてきました。しかし、府内統一化によって、減免等市独自の措置は取れないとしています。
厚生労働省の「国民健康保険実態調査」では、皆保険体制が始まった1960年代の国保は加入世帯の世帯主の約7割が農林水産業者と自営業者でした。しかし現在の加入者は、非正規雇用の労働者が約3割、高齢者約4割であり、高齢者の占める割合は20年前の1・7倍に急増しています。社会経済構造の大きな変化の中で、国民健康保険は、現在では医療ニーズの高い高齢者や収入が低く不安定な非正規労働者の健康と命を守る大切な公的医療保険となっています。ただでさえ高い国保料は、滞納者も増えています。さらに値上げによって保険料が払えず、保険証が交付されない、期限付きの短期保険証となるなど、医療にかかれなくなるような事例をつくってはなりません。
国民健康保険は国民健康保険法に明記されている通り、社会保障です。
大元は国の責任で高い国保料の引き下げと、加入者の実態に合わせた制度改革をするべきです。全国知事会は、2014年、将来にわたる国保基盤強化と負担の公平性の観点から1兆円の公費投入の必要性を訴えました。1兆円増えれば、中小企業の労働者が加入する「協会けんぽ」の保険料と比べ約2倍の保険料をせめて「協会けんぽ」の保険料と同水準までに引き下げることができます。公費負担を増額すること。また他の保険にはない、人数に応じてかかる均等割を廃止することを国・府に求めてください。
法律で定められている各市町村による保険料の決定権,その権利を侵害する府内統一化は中止すべきであり、物価高で家計が悲鳴を上げる今、国保料の値上げは到底認められません。よって本予算案を認めることはできません。
(賛成多数により可決。日本共産党は反対。)
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