事業見直し | 2011.10 市議会報告 特別号より |
事業見直し会議
福祉保健部が半分以上
事業を選びだすために右の判断基準を市はあげています。しかし、この判断基準に合致していても検討対象に挙がっていないものもあります。福祉・子育てなど吹田市が充実をさせてきた事業を中心に事業見直し会議がはじまっています。
メンバーは市長、両副市長、教育長、水道事業管理者、病院事業管理者、外部委員。(9月20日〜10月3日の間の5日間)
→市の判断基準
1 | 国・府制度と整合性を欠くと考えられるもの |
2 | 将来的にみて総事業費が増大し、持続可能性がないと見込まれるもの |
3 | 府内特例市で実施されていないもの、または府内特例市と比較して突出した内容の事業 |
4 | 必要性が不十分、もしくは事業効果があいまいと考えられるもの |
5 | 外部の有識者の客観的な意見を参考に判断することが適切な事業 @類似した内容の事業が複数ある場合 Aコストや手法について検討が必要な場合 B民間活力を活かす検討が必要な場合 C特例的に開始した事業である場合 |
○をつけているものは、今回の事業見直し会議の対象となっています
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こういうところも対象に
市民の声
日中活動重度障害者支援事業は、国の貧困な支援費用をカバーするために作られた制度です。この制度がなくなったり減額されると職員を減らさざるえなくなり、国の加算も減らされて、事業所としては重度の障害者を断ったり、運営できなくなる事業所が出かねません。
障害者施設理事長
現在の保育園の運営費は保育士が経験を重ねて働き続けることを保障したり、子どもたちの豊かな生活を保障できる水準のものではなく、市の補助金を上乗せしてやりくりしています。現行の補助金がカットされたら、たちどころに運営が出来なくなります。
民間保育園園長
市有施設の見直し 市は次の4つをあげています
いずみ母子ホーム | 生活に困っている母子家庭のための入所施設。 近年入所世帯が減少。 |
JR吹田駅南立体駐車場 | 構造上、車高 155センチ以下でなければならず利用が少ない。 |
勤労青少年ホーム | 勤労青少年の福祉のための施設。 |
公立幼稚園16園 | H16年度の1250人をピークに現在1019人に減少している。 |
「アウトソーシングの推進」の中身
事業見直しの大きな柱の一つです。府内特例市(解説A)と職員数を比較し吹田市の職員数が多い部門を中心に、他市で既にアウトソーシングに取り組んでいる業務等について吹田市でも計画的に推進していく、としてアウトソーシングや市単独事業の見直しと職員数削減を一体にすすめようとしています。低価格入札により、生活できない程の低賃金に抑えなければ労働者を雇用できないという現状があります。その結果、労働者を確保できず途中で投げ出す事業所もでてきています。
解説A
特例市
法定人口20万人以上で、市議会と都道府県議会の議決を経て政令で指定されます。特例市になるとより多くの行政上の権限を持つことができます。大阪府下では吹田市、豊中市、枚方市、茨木市、八尾市、寝屋川市、岸和田市が指定されています。
総 務 | 職員の給与計算・支払業務、福利厚生業務 →業務委託 |
税 務 | 市税滞納者への電話催告、納付照会等の窓口業務、パソコン入力業務 →業務委託 |
民 生 | 民生公立保育所の一部 →民営化 保育所の保育料徴収業務 →業務委託 のびのび子育てプラザ(山田駅前青少年施設内)の管理運営→指定管理者制度 |
衛 生 | 環境監視業務など →業務委託 |
土 木 | 道路、公園維持管理業務 →業務委託 市営住宅の管理運営 →指定管理者制度 |
教 育 | 小中学校校務員業務・小学校給食調理業務 →業務委託 青少年活動サポートプラザ(山田駅前青少年施設内)の管理運営 →指定管理者制度 図書館貸し出し業務 →業務委託(すでに一部の館で実施) |
その他 (特別会計) |
地域包括支援センターの一部 →業務委託 |
……事業見直し会議の対象となっています
各地でおこる重大事故
安全であるはずの学校施設でおこった泉南市のプール事故。子どもの安全は安上がりの民間の委託でないがしろに。
ある日突然 保育園の先生が全部いれかわってしまう
公立保育園の民営他市で起こっている裁判の事例から
2002年11月、大東市の公立保育所の保護者74名が裁判所に対して「保育所民営化の取り消し」を求めて集団提訴し、「公立保育所の廃止・民営化」を司法の場を通じて広く問いかけました。
この訴えについては大阪地裁・高裁ともに却下されましたが、2003年「大東市に対して損害賠償を求める」と保護者が再び訴えました。大阪高裁は「保護者に対しての説明不足。何よりも子どもたちへの配慮が不足している」と1世帯あたり33万円の損害賠償の支払いを命じました。市が最高裁に上告しましたが棄却されました。
その後、民営化は進められているが公立保育士が出向するなど経費がかかり「財政再建のため」は名ばかりとなっています。
地方自治の本旨ってなんだろう
地方自治法第1条では「地方公共団体は住民の福祉の増進を図ることを基本」としています。また、すべての生活部面において、「国は、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進につとめなければな」りません(憲法第25条の2)。
財政運営で参考にする部分があったにしても、地方自治体は利潤追求をする民間企業とは違う使命を持っています。
事業見直しで市民の暮らしが「非常事態」に
高すぎる国民健康保険料の引き下げ、特別養護老人ホームの待機者や保育所の待機児解消、介護の負担軽減、学校をはじめとした耐震工事の促進などは待ったなしの課題です。今市政に求められるのは状況の違う大阪府の橋下知事のまねではなく、これまで市民と行政がともにつくりあげてきた福祉のまち、暮らしやすさ近畿第2位(日経調査2011)の市民本位の市政をさらに発展させることです。