市議会報告

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財政運営方針について 2011.10
市議会報告 特別号より

市の考え方

H23年度 決算において臨時財政対策債を発行しない(当初予算は37億円発行する予定)
H24年度 予算編成において赤字地方債による財源補てんを行わない
H25年度 決算において財政調整基金を取り崩さない
H26年度 経常収支比率を95%にする(解説D)

解説D
経常収支比率
地方自治体の財政構造の弾力性を判断するための指標。人件費、扶助費、公債費のように毎年度支出される固定経費が、地方税など使い道が特定されない一般財源(臨時財政対策債も含む)に占める割合で、この比率が高いほど建設事業など臨時的なものに使える余裕がないとみます。しかし成熟した社会では、公共施設の建設ラッシュも終わり社会保障や教育などのソフト面での行政需要への対応に力を入れているので、この指標が高くなるのは当然の傾向といえます。市は102.9%といっていますが臨時財政対策債を計算に入れていないためで、国の計算式どおりでは95.2%となります。

吹田市の財政状況は健全です。
 市民生活を脅かす行財政改革のおおもとには「財政非常事態」「赤字体質」という認識が出発点になっています。しかし実態はどうでしょうか。客観的指標としてご覧ください。

  吹田市 府下平均 全国平均
財政力指数
自治体の財政力をしめす指数で、基準財政収入額を基準財政需要額で割った数値の過去3年間の平均値。財政力指数が高いほど財源に余裕があり、1を超えると国からの普通交付税は交付されません。大企業や原発のあるところは高くなっています。
1.11
全国98位、
府下3位
0.79 0.55
実質公債費比率
一般会計等が負担する元利償還金及び準元利償還金の標準財政規模に対する比率。資金繰りの危険度を示すものです。
3.2%
借金が少ない方
から全国108位、
府下3位
8.3% 11.2%
  吹田市
個人市民税 府下2位
法人市民税 府下3位

 一般家庭の家計に換算してみると年収500万円世帯で年に34万円のローン毎月28,333円を返済していることになります。
 どうして大阪府でも財政力や借金の少なさにおいても全国や大阪府下で上位にある吹田市が、なぜ「財政非常事態」ということになるのでしょうか。
「非常事態」などと言う客観的な指標はどこにもありません。

地方自治体をとりまく状況は

 いま地方自治体のほとんどが厳しい財政運営を強いられています。その原因は、政治のあり方に加え日本経済の落ち込み、とりわけリーマンショック以後は税収が大きく落ち込んだことが最大の原因です。市長が赤字の根拠とする「臨時財政対策債」も国の地方交付税特別会計の悪化によって交付税の後払い方式として制度化されたものであり、財政運営の手法の一つです。地方自治体は、小泉政権の「三位一体改革」と地方分権のもとで、国・府の補助金などが2006(平成18)年以降大きく削減され、吹田市でも毎年約11億円の減収となり、また大阪府の財政再建のもとで補助金が交付金化されるなど、国・府が本来責任を果たすべき分野で、悪政のツケが地方自治体に押しつけられ、翻弄されているのです。
 財政悪化の原因は市民にあるのではありません。経済状況の悪化で税収の減、ナショナルミニマム放棄の「地域主権論」によって地方自治体が厳しい財政運営を強いられることにはなんら目を向けず、政治主導と称し市民や現場の職員の意見を聞かず、ないがしろにする市政運営は自治体の首長として許されないものです。

市民のみなさん

 最後まで読んでいただきありがとうございました。
 私たちが伝えたいこと―東日本大震災で命の大切さと自治体の在り方、公務労働のかけがえのない役割について見直されています。いまこそ地方自治の本旨をしっかり守り、自治体本来の役割である市民の暮らし福祉最優先の吹田市政をつくって行くことが必要です。いま求められることは、市長として国・府の責任を明確にして物を言い、行動を起こし、市民と力を合わせて運動を進めることです。住民の暮らし福祉を守り、地域経済の活性化をはかり、税収の確保に努力すること、真のムダを削り、市民本位の行財政改革に力を合わせて取り組むことです。
 私たちは「行政の維新プロジェクト」に反対し、吹田市の市民本位の施策を守り発展させるために力を尽くしてまいります。