今回の条例改正中の「被災住宅の固定資産税、都市計画税の軽減措置の期間延長」については、この間の震災等の被害に対する税制措置として評価できますが、今回の改正の主な内容である
(1)満65歳以上の方のうち合計所得が125万円以下の方に対する、いわゆる人的非課税措置の廃止と、(2)個人市民税の定率減税の縮減については認めることは出来ません
なぜならば、その理由は2点あります。
第1点目は市民負担と市の施策への影響の問題です
満65歳以上の方については、これまで所得125万円まで、年金収入なら245万円、給与収入なら204.3万円まではが非課税でしたが、今回の廃止改正により、一般の非課税限度額と同じ基準となり、単身者では所得35万円以下、扶養家族が1人の場合、所得割が所得105万円、均等割りが92万円以下になります、
単身者でみると年金収入なら155万円以下、給与収入なら100万円以下となります。これは、給与収入の場合でみると生活保護基準以下の年収でも市民税が課税される事になります。
今回の改正で全国では100万人以上の方が課税対象になると試算されており、本市でも3500人の方が影響を受け、その負担増額は3432万円となります。
さらに、今度の改正は市民税の負担にとどまらず、
(1)介護保険料で、年9653円増額になる方が3995人、年1万9306円増額になる方が4629人となりその他利用料助成などの施策を含めて介護保険制度では1億5430万249円の市民負担の増大になります。
(2)また老人保健医療制度で、3446人の方が年18800円の負担増
(3)老人医療費助成制度では、1233人の方が年73150円の負担増となります
これ以外にも、介護保険のホテルコストも市民税非課税が基準となるので、そのしわ寄せと、非課税措置廃止は高齢者市民の生活に大きく影響し生活悪化は避けられず深刻な問題となります。
定率減税縮減の影響は14万2000人の市民の方に18億2千万円の負担増となり、保育料への影響は、入所児童の23%の1012人に影響があり、 その額は7764万8400円となります。
この間、配偶者特別控除の廃止、老年者控除の廃止、均等割りの増額、年金特別控除の縮減など、相次ぐ増税は、単に増税だけでなく種々の制度に影響し、市民生活、とりわけ高齢者や低所得者に大きく影響し生活を圧迫する状況となっています。
第2点目は条例化の根拠から見ての考えからです
国で地方税改正されたからといって、ただそれに追従して何でも条例改正するのは、地方自治の自立の時代から言っても、検討すべきではないかと思います。
国の法律改正であっても、地方税法第3条第1項で「地方団体は、その地方税の税目、課税客体、課税標準、税率その他賦課徴収について定をするには、当該地方団体の条例によらなければならない」とありますように、法律改正も条例化することによってはじめて有効であり、地方団体の自主性も保障されています。
ですから、単に国どおり改正するのではなく、市民生活に配慮した、また影響する制度との関係を考慮した中で市独自の判断をすべきであります。
国の税制改正をそのまま条例化する根拠は、地方税法第1条第5項標準税率 地方公共団体が課税する場合に通常よるべき税率でその財政上その他の必要があると認める場合においては、これによることを要しない税率をいい、総務大臣が地方交付税の額を定める際に基準財政収入額の算定基礎として用いる税率とする。という条文にあるように、「市民税課税状況」が地方交付税の算定基礎となることから、国の法律をそのまま条令化するという根拠になっていますが、本市は地方交付税不交付団体ですから、自主的判断できる条件はあると考えます。
以上の理由から今回の条例改正については反対するものです。
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